個人輸入の関税と免税
個人輸入の関税と免税
■自己紹介
2012年よりタイに滞在中でタイ語通訳者の能勢です。
今回は、タイから日本に商品を輸入した場合に掛かる関税や消費税などの税金や免税対象などについて考察してみたいと思います。
よく20万円以内の商品価格であれば関税が掛からないなどと聞きますが、実際はどうなのでしょうか。
タイ輸入をこれから事業として始められる方がいれば、少しでも税金の支払いを安く済ませるための参考になればと思います。
個人輸入の関税と免税 – 個人輸入
課税価格という考え方
この記事では、商品価格と課税価格については分けて記載しております。
前提条件として、課税価格がどういったものかについて理解しておく必要があります。
課税価格の考え方については一般的に商売用と個人用の二つの考え方があります。
課税価格(商売用)
商品代金と発送代金、保険料(付帯の場合)の合計金額
算出方法:商売用の課税価格 = 商品価格 + 送料 + 保険料
課税価格(個人用)
外国の小売価格に0.6を掛けた金額
算出方法:個人用の課税価格 = 商品価格 × 0.6
今回は個人輸入の場合の課税について考えていくので課税価格(個人用)を参考にしてください。
参考記事 – 商売輸入の関税と消費税
商売用に品物を日本へ輸入する場合の関税と消費税について纏めています。良かったらこちらの記事もご参考にしてください。
個人輸入の関税と免税 – 免税範囲
携帯品や別送品として輸入 (海外旅行などの場合)
外国で商品を購入して日本へ持ち込む際に、携帯品または別送品として商品を日本に発送した場合についての関税と免税の関係についてご説明します。
※なお別送品とは、海外旅行から日本に帰国後6か月以内に輸入する貨物に限り別送品と言います。
この場合には、商品価格で20万円と1万円、合計最大で21万円という免税枠が設けられています。
■免税20万円枠の考え方
例:外国で商品価格15万円のバッグを3つ購入し日本に持ち帰る場合
商品価格15万円の一つのバックに対して免税20万円が適用となり、
残りの30万円に対して課税対象となる。
■免税1万円枠の考え方
外国で購入した商品価格が10,000円以下の場合は関税と消費税が免除されます。
例:外国で2,500円の財布を4つ購入しても、商品価格が合計10,000円以下なのでこれらについては関税及び消費税は掛かりません。
■上記二つを合わせた考え方
例:外国で商品価格20万円のバッグを一つ購入と商品価格2,500円の財布を4つ購入された場合、
財布については1万円以下なので免税対象となります。
さらに、この1万円は免税枠20万円とは別枠となるので、それ以外の20万円のバッグについては丸々免税対象となり、合計最大で21万円が免税となります。
このあたりの説明は下記のページに記載されています。
➡️外旅行者の免税範囲
免税枠20万円を超えた分の課税方法
■免税枠20万円を超えた分の商品の課税価格が10万円以下の場合 = 15%(消費税込)
例:日本に持ち帰る商品が2つ以上で、1つの商品価格が20万円以下と、
もう1つの商品の課税価格が10万円以下の場合は簡易税率として15%(消費税込)が課せられる。
例:商品価格20万円のバッグと商品価格9万円のバッグを日本に持ち帰る
商品価格20万円のバッグに対しては免税枠以内なので関税は免除されますが、
商品価格9万円のバッグに対しては、課税価格を算出して簡易関税15%(消費税込)が掛かります。
90,000円 × 0.6 = 54,000円(課税価格)
課税価格54,000円 × 15%(消費税込) = 8,100円(別途内国消費税が課せられる場合があります)
■免税枠20万円を超えた分の商品の課税価格が10万円を超える場合 = 一般税率 + 消費税
例:日本に持ち帰る商品が2つ以上で、1つの商品価格が20万円以下と、
もう1つの商品の課税価格が10万円を超える場合には一般税率と消費税が課せられる。
例:商品価格20万円のバッグと商品価格17万円のバッグを日本に持ち帰る
商品価格20万円のバッグに対しては免税枠以内なので関税は免除されますが、
商品価格17万円のバッグに対しては、課税価格を算出して一般関税と消費税が課せられます。
170,000円 × 0.6 = 102,000円(課税価格)
課税価格102,000円に一般税率が適用され、さらに消費税も課せられます。
一般発送で外国から日本に輸入(オンラインなどで発注する場合)
ご自身は日本にいながら、オンラインなどで外国の企業へ商品を発注して、商品を日本へ輸入する場合、個人用でも免税20万円枠というのは利用できません。
一般発送の場合の関税や免税の考え方をご案内します。
■1万円以下の免税
一般発送で商品を個人用として日本に輸入する場合、課税価格で1万円以下の場合に免税が適用となります。
例:個人用に限り課税価格が1万円以下の商品
オンラインで外国企業に商品価格が16,666円の商品を発注し日本へ発送してもらった場合は、
課税価格が10,000円となるので免税となります。
課税価格を算出:商品価格16,666円 × 0.6 ≒ 10,000円
■課税価格が総額20万円以下の貨物には簡易税率が適用
一般発送で商品を個人用として日本に輸入する場合、課税価格で20万以下の貨物には簡易税率が適用されることになります。
この簡易税率表は税関のホームページ記載されているので、下記のリンクよりご確認ください。
➡️簡易税率表
ただし、課税価格が総額20万円以内でも以下の物には簡易税率によらず一般の商業貨物と同様の税率が適用されます。
1.関税が無税又は免除されるもの
引用元:税関1001 総額20万円以下の貨物の簡易税率(一般輸入貨物、国際郵便物)(カスタムスアンサー)
2.犯罪に係る貨物
3.本邦の産業に対する影響等を考慮して、簡易税率によることを適当としない貨物(下表)
(1) ミルク、クリーム等
引用元:税関 (簡易税率によることを適当としない貨物)
(2) 雑豆
(3) 穀物
(4) 穀粉等
(5) 落花生及びこんにゃく芋
(6) 豚肉及び牛肉の調製品
(7) ココア調製品
(8) 穀粉・穀物の調製品
(9) 調製食料品
(10) たばこ
(11) 精製塩
(12) 石油
(13) メントール
(14) 原皮・革
(15) 革製品
(16) 繭・生糸
(17) ニット製衣類
(18) 履物
(19) 身辺用模造細貨類(卑金属製以外)
(20) 革製の携帯用時計バンド
(21) 革製の腰掛けの部分品
※タイ輸入で人気の革製品はこの15番目の貨物に当てはまるので、一般税率と消費税が掛かります。
個人輸入の関税と免税 – 免税対象外
海外旅行から帰国して、外国の商品を購入されてきても免税されない商品がありますので、注意が必要です。
免税対象外:関税定率法施行令第十六条の三及び別表より抜粋
食品関係
- 米:[1006]
- 甘しや糖、てん菜糖、化学的に純粋なしよ糖(固体のものに限る。):[1701]
- ぶどう糖及びぶどう糖水-その他のもの(砂糖を加えたもの):[1702.30.2-1]
- ぶどう糖及びぶどう糖水-その他のもの:[1702.40.2]
- その他の果糖及び果糖水:[1702.60-2]
- その他のもの(砂糖):[1702.90-1, 1702.90-2, 1702.90-5-2-A]
- 果実、ナットその他植物の食用の部分(その他のもの):[2008.99-2-1-B-c-ロ]
- 調製食料品(その他のもの糖水(着色料又は香味料を加えたものに限る。)):[2106.90-2-2-A]
- 調整食品(その他のもの):[2106.90-2-2-E-a-ハ-ロ]
革製品関係
- トランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばんその他これらに類する容器 (外面が革製又はコンポジションレザー製のもの) [4202.11]
- ハンドバッグ(取手が付いていないものを含むものとし、肩ひもが付いているかいないかを問わない。)(外面が革製又はコンポジションレザー製のもの)[4202.21]
- 手袋、ミトン及びミット(特に運動用に製造したもの)[4203.21]
- 手袋、ミトン及びミット(その他のもの)[4203.29]
衣類関係(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る)
男子用衣類
- オーバーコート、カーコート、ケープ、クローク、アノラック(スキージャケットを含む。)、ウインドチーター、ウインドジャケットその他これらに類する製品 [6101]
- スーツ、アンサンブル、ジャケット、ブレザー、ズボン、胸当てズボン、半ズボン及びショーツ(水着を除く。)[6103]
- シャツ[6105]
- パンツ、ズボン下、ブリーフ、ナイトシャツ、パジャマ、バスローブ、ドレッシングガウンその他これらに類する製品[6107]
女子用衣類
- オーバーコート、カーコート、ケープ、クローク、アノラック(スキージャケットを含む。)、ウインドチーター、ウインドジャケットその他これらに類する製品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限るものとし、第61.04項のものを除く。)[6102]
- スーツ、アンサンブル、ジャケット、ブレザー、ドレス、スカート、キュロットスカート、ズボン、胸当てズボン、半ズボン及びショーツ(水着を除く。)[6104]
- 女子用のブラウス、シャツ及びシャツブラウス[6106]
- 女子用のスリップ、ペティコート、ブリーフ、パンティ、ナイトドレス、パジャマ、ネグリジェ、バスローブ、ドレッシングガウンその他これらに類する製品[6108]
男女共用衣類
- Tシャツ、シングレットその他これらに類する肌着[6109]
- ジャージー、プルオーバー、カーディガン、ベストその他これらに類する製品[6110]
免税対象外の代表的な商品が税関ホームページにも下記の通り記載されています。
革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等
引用元:1006 課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について(カスタムスアンサー)
個人輸入の関税と免税 – 免税店
免税店とはお店で商品を購入しても税金が課せられないお店の事を言いますが、市中免税店と空港型免税店の2種類があります。
市中型免税店とは、一般の街中にある免税店で消費税が免税となるTax Free Shopを言います。
日本国内で考えた場合、訪日外国人向け店舗のドンキホーテやビッグカメラ、高島屋などが当てはまります。
空港型免税店とは、空港にある免税店と言う事ではなく、出国エリアで商品を引き渡す免税店で消費税・関税・酒税・タバコ税などの日本の税金全てが免税となるDuty Free Shopの事を言います。
日本国内で考えた場合、成田空港や羽田空港などの国際空港で出国手続きを済ませた後のエリアは法律上は日本国外となるので、日本の税金が課されないと言う仕組みになります。
個人輸入の関税と免税 – 違い
免税の仕組みの違いは下記のようになります。
Tax Free Shop
国内居住者は不可(6ヶ月以内の非居住者に限る)
消費税のみ免税
Duty Free Shop
出国エリアにいる方であれば利用可能
消費税、関税、酒税、タバコ税なども免税
個人輸入の関税と免税 – まとめ
如何でしたでしょうか?
個人輸入で商品を外国から輸入しても、関税の知識がないと税金を多く支払わなければならなくなることもあるので、輸入する前には必ず適応される関税率などは予め調べておいた方が良いですね。
投稿者プロフィール
- 2012年よりタイに滞在中でタイ語通訳者の能勢です。
普段からタイに滞在しています。
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